1. フルミストとは?
まず、「フルミスト」とは何か、簡単にご説明しましょう。フルミストは、鼻にスプレーするタイプのインフルエンザ生ワクチンで、注射を使わないことから、特に注射が苦手な方や、毎年のワクチン接種に抵抗がある方にとって非常に有力な選択肢となります。2024年から日本でも承認され、いよいよ多くの方がこのワクチンを選べるようになりました。
フルミストは、アメリカやヨーロッパではすでに広く使われており、注射型の不活化インフルエンザワクチンと同等の効果が認められています。このワクチンは、鼻にスプレーするだけでインフルエンザウイルスに対する免疫を作るため、痛みを伴わず、非常に簡単に接種が完了します。特に注射嫌いの方や小さな子どもにとって、画期的な選択肢と言えます。
2. 日本でも2024年から承認
2024年、ついに日本でもフルミストが承認されました。これまで、インフルエンザワクチンは主に注射型の不活化ワクチンが使用されてきましたが、フルミストの登場により、インフルエンザ予防の選択肢が広がったことは大きな進展です。
日本ではワクチンの安全性が重視されており、新しい技術の導入には慎重な姿勢が取られることが多いですが、フルミストはすでに世界中で長年使用され、その効果と安全性が証明されています。そのため、2024年から正式に承認され、日本国内でも自費で接種が可能となりました。
3. 不活化ワクチンとの違い
ここで、従来の不活化インフルエンザワクチンとの違いを詳しく見てみましょう。
不活化ワクチン:
- 注射によって体内に免疫を作る
- 体内に入れるのは「死んだウイルス」で、これにより免疫を作り出します。
- 体に侵入したウイルスを防御
- 免疫系は注射によって作られる抗体を使い、ウイルスと闘います。
- 注射を伴うため、痛みや不快感がある場合がある
- 特に小さいお子さんや注射が苦手な方にとっては、少しハードルが高いかもしれません。
フルミスト:
- 鼻にスプレーするだけ
- 注射針を使わず、鼻腔に直接スプレーするため、痛みを伴いません。非常に簡単に接種が完了します。
- 生ワクチンで細胞性免疫も高める
- フルミストは「生ワクチン」です。弱毒化されたインフルエンザウイルスを使って免疫を作り、体全体でウイルスと闘う細胞性免疫も高めます。
- 発症予防効果が高い
- インフルエンザウイルスは通常、鼻や喉から体内に侵入します。フルミストはその侵入経路である鼻腔に免疫をつけるため、非常に効果的です。
- 流行株が異なっても効果が期待できる
- 生ワクチンであるため、ウイルスが変異しても、ある程度の効果が期待できることが大きなメリットです。流行株とワクチン株が完全に一致しない場合でも、発症を軽減する効果が期待できます。
このように、フルミストは従来の注射型ワクチンとは異なるメカニズムで、インフルエンザに対する強力な防御効果を発揮します。
4. 誰におすすめ?
フルミストは特に以下のような方におすすめです。
- 注射が苦手な方
フルミストは注射を使わず、鼻にスプレーするだけで接種が完了するため、注射の痛みに対する恐怖やストレスが大幅に軽減されます。 - 毎年、インフルエンザにかかりやすい方
たとえば、不活化ワクチンを接種してもインフルエンザにかかってしまう方には、異なるアプローチで免疫をつけるフルミストが効果的かもしれません。 - 受験生やスポーツ選手など、感染リスクを最小限にしたい方
特に受験シーズンや重要な試合の前など、絶対にインフルエンザにかかりたくない方には、強力な予防効果が期待できます。 - 健康な子どもや若年層
フルミストは2歳以上19歳未満の方が対象です。特に小さなお子さんには、痛みを伴わないスプレー型ワクチンは大きなメリットです。
5. 接種できない方
しかし、すべての方がフルミストを接種できるわけではありません。以下の条件に当てはまる方は、フルミストの接種は避ける必要があります。
- 満2歳未満および19歳以上の方
フルミストは2歳から19歳までの年齢層を対象としているため、それ以外の方は接種できません。 - 1年以内に喘息発作を起こした方
呼吸器系に負担がかかる可能性があるため、喘息患者さんは注意が必要です。 - 重度のアレルギーがある方
卵、ゲンタマイシン、ゼラチン、アルギニンなど、ワクチンに含まれる成分に対してアレルギーがある場合は、接種を避けるべきです。 - 心疾患や肺疾患、免疫不全などの慢性疾患をお持ちの方
免疫力が弱い方や特定の持病がある方には生ワクチンの使用は推奨されていません。 - 妊娠中の方
妊婦さんへの生ワクチン接種は避けるべきとされています。 - 接種時に風邪や鼻炎がひどい方
鼻に直接スプレーするため、鼻のコンディションが悪いときには接種を控える方がよいでしょう。
6. 副反応について
フルミストは痛くないという利点がある一方で、副反応の可能性も存在します。一般的な副反応は以下の通りです。
- 鼻炎(40-50%)
- 咽頭痛(5-10%)
- 発熱(10%)
- 頭痛(3-9%)
7. 接種方法と費用について
それでは、フルミストの接種方法と費用についてもお話ししておきましょう。
- 価格:1回 8,000円(自費)
- 対象年齢:2歳以上19歳未満
- 接種回数:通常1回
- ただし、9歳未満でインフルエンザワクチン接種歴がない方は2回の接種が推奨されています。
フルミストは非常に簡単に接種ができ、痛みを伴わないため、特に子どもや注射が苦手な方にとっては非常に良い選択肢です。鼻腔にスプレーするだけで接種が完了するので、スピーディーでストレスフリーな接種が可能です。
フルミストの実際の投与の様子です(1分1秒からご覧ください)