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どっちを選ぶ?「フルミスト」と「注射型インフルエンザワクチン」の違いと効果について

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インフルエンザ

どっちを選ぶ?「フルミスト」と「注射型インフルエンザワクチン」の違いと効果について

こんにちは、久保田小児科クリニック松戸高校です。
秋が深まると、インフルエンザの予防接種を考える時期がやってきますね。今年は、「鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチン”フルミスト”」を選ぶべきか、従来の「注射型インフルエンザワクチン」を選ぶべきか迷っているお母さんも多いのではないでしょうか?

この記事では、フルミストと注射型ワクチンの違いをエビデンスに基づいて説明し、どちらを選ぶべきかの判断材料をご提供します。お子さんの健康を守るための参考にしてください。

フルミストとは?痛くないインフルエンザワクチン

まず、フルミストについて簡単に説明します。フルミストは、鼻腔に噴霧するタイプのワクチンで、痛みを伴いません。鼻の中に噴霧されたワクチンが体内で免疫反応を引き起こし、インフルエンザウイルスに対する免疫を作ります。2歳から18歳のお子さんを対象としており、特に注射が苦手なお子さんや痛みに敏感な子どもたちにはぴったりの選択肢です。

アメリカでは2003年に承認され、ヨーロッパでも2011年に承認されていますが、日本では2024-2025シーズンから国内承認が始まったばかりです。

フルミストと注射型ワクチン、効果はどう違う?

お母さんたちが一番気になるのは「どちらが効果的なのか?」という点だと思います。結論から言うと、フルミストも注射型ワクチンも、インフルエンザの発症を予防する効果は基本的に同等です。

実際のデータでは、2歳から7歳の子どもたちにはフルミストのほうが効果が高いという報告もあります。特に、鼻腔で免疫を作ることで、ウイルスが体内に入る経路をブロックする働きが期待されています。一方で、注射型ワクチンは長年使われてきた信頼性の高い方法で、6ヶ月以上の赤ちゃんから高齢者まで幅広く対応可能なことが特徴です。

例えば、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、2016年に一時期フルミストの推奨を外しましたが、その理由はワクチンの保管温度や管理の問題によるもので、ワクチン自体の効果が問題だったわけではありません。その後、改善が進み、2018-2019シーズンから再びフルミストが推奨されるようになりました。日本でも、こうした背景を受けて、2024年に承認され、広く利用されることとなったのです。

副反応と注意点

次に、副反応についても見ていきましょう。どちらのワクチンも安全性が高いとされていますが、いくつかの違いがあります。

  • フルミスト:鼻腔に噴霧するため、接種後に軽い風邪のような症状(鼻水、くしゃみ、咳など)が50%の方で見られます。また、微熱を伴うこともありますが、重篤な副作用は非常に稀です。特に小さいお子さんの場合、鼻腔内でウイルスが活動するため、自然に近い免疫反応を引き起こします。
  • 注射型ワクチン:不活化ワクチンであり、注射した部位が腫れたり、赤くなったりすることがあります。発熱や体のだるさを感じる方もいますが、これも一時的なものです。こちらも安全性は高く、重篤な副作用は極めて稀です。

ただし、フルミストは喘息や慢性疾患を持つお子さんには適さない場合があるため、心配な方は医師にご相談ください。また、2歳未満のお子さんにはフルミストは使用できませんので、この場合は注射型ワクチンが適しているでしょう。

費用について

フルミストと注射型ワクチン、どちらを選ぶか迷うもう一つの大きなポイントは「費用」です。お母さんたちにとって、費用は重要な要素の一つですよね。

  • フルミスト:1回8,000円(税込)
  • 注射型インフルエンザワクチン:1回3,500円(税込)、LINE割利用で3,300円(税込)

小学生以下のお子さんは2回接種が必要なため、例えば注射型ワクチンを選んだ場合、2回で7,000円(LINE割なら6,600円)となり、フルミストとの差額はそれほど大きくありません。費用面で考えると、小学生以下の接種ではフルミストと注射型ワクチンのコスト差はほぼ同じです。

ただし、フルミストは痛みがないため、注射が苦手なお子さんや、「2回目の注射を嫌がるかも」と心配なお母さんにはフルミストの方がメリットが大きいかもしれません。

どっちを選ぶべき?

結論として、以下のポイントを参考にして選ぶと良いでしょう。

  • 痛みが気になる → フルミストは痛みがなく、注射を嫌がるお子さんにはおすすめです。
  • 2歳未満のお子さんや基礎疾患があるお子さん → 注射型ワクチンを選びましょう。特に喘息などの呼吸器系疾患がある場合、フルミストは適さないことがあります。
  • 費用を重視する → 小学生以下の場合、2回接種が必要なので、フルミストと注射型ワクチンの費用差は小さいです。年齢が高く、1回接種で済む場合には注射型ワクチンの方がやや安価です。

最後に

お母さんたちがワクチンを選ぶ際には、効果や副反応だけでなく、お子さんの体質や性格、家庭の状況に合わせて選ぶことが大切です。どちらのワクチンもインフルエンザ予防に効果的ですが、最終的な判断はお母さんとお子さん自身で行ってください。不安や疑問があれば、ぜひ当院にご相談ください!

今年も元気に冬を迎えるために、早めの予防接種をお勧めします。