病気/トピックス

子どもの低血圧の種類と起立性低血圧のチェックリスト

低血圧

子どもの低血圧の種類

子どもの低血圧は主に以下の2種類に分類できます。

1. 起立性調節障害

自律神経の異常により血圧が低下し、脳の血液循環が悪化します。だるさ、めまい、頭痛などの症状が現れます。この症状は、気候や季節の変化、生活リズムの乱れ、ストレスなどから影響を受けやすいです。特に、身体の機能が大人へと変化していく小学校高学年から中学生に多く見られます。日常生活に支障が出ることもあり、周囲のサポートが必要となります。

2. 本態性低血圧

一次性低血圧とも言われ、体質的または遺伝的要因により血圧が慢性的に低い状態が続く症状です。食生活や睡眠時間の見直し、水分や塩分の適切な摂取など、生活習慣の改善や治療が必要となります。

起立性低血圧の症状を確認するためには以下のチェックリストを参照します。

  • 気分が悪い
  • 立ちくらみやめまいが頻繁にある
  • 立っていると気分が悪くなる
  • 朝、起き上がるのがつらい
  • 頭痛や倦怠感を感じる
  • 食欲不振が続く
  • 動くとすぐに動悸や息切れがする

これらの症状が見られる場合、起立性低血圧の可能性があります。

起立性調節障害には4つのタイプ

起立性調節障害には4つのタイプがあります。

1. 起立直後性低血圧

急に立ち上がったときに血圧が低下し、立ちくらみや倦怠感が生じます。自律神経の異常が原因となります。

2. 体位性頻脈症候群

寝ている状態や座った姿勢から立つと頭の位置が上がり、血流が悪くなる症状です。頻脈や倦怠感、頭痛などが見られます。脳の血流が低下すると、意識が遠のき、失神することもあります。

3. 神経調節性失神

脳への血流を調節する神経がうまく働かず、交感神経抑制と副交感神経のバランスが崩れます。その結果、血圧が低下し、脈が遅くなることや失神が起こります。

4. 遷延性起立性低血圧

寝た状態から急に起き上がっても血圧は正常ですが、立ち続けること3~10分で徐々に血圧が低下し、失神することがあります。軽症の場合は日常生活への影響は少ないですが、重症になると生活に支障が出ます。

起立性低血圧の原因は、自律神経疾患であり、身体的要因以外にも精神的、環境的要素も関係しています。特に、この時期の子どもたちは、身体的にも自律神経の面でも大きな変化が起き、循環器系の調節がうまくいかないと言われています。適切な治療を行った場合、軽症であれば2~3ヶ月で改善することがありますが、症状が重い場合は社会復帰に時間がかかることもあります。本人が頑張っても改善しないこともあり、周囲の理解とサポートが必要です。

診断には、病歴や既往歴を調べる問診・診察が行われ、必要に応じて検査(起立試験)を受けます。鉄欠乏性貧血、心臓病、神経疾患、甲状腺などの内分泌疾患など、他の病気を除外した上で「起立性低血圧」の診断が下されます。

起立性調節障害の治療

治療には、非薬物療法(生活習慣の改善)と薬物療法(血圧を調節する薬の使用)があります。非薬物療法では、寝るときに頭を高くしたり、水分や塩分をこまめに摂ったり、適度に運動をしたり、過食を避けたり、規則正しい生活を送ることが重要です。特に、夜遅くまでスマートフォンやタブレットの使用は避けるべきです。症状が改善しない場合は、血圧の低下を防ぐ薬や交感神経の作用を高める薬が使用されます。薬物療法と非薬物療法は同時に進められます。

日常生活で注意すべき点は、低血圧になりやすい状況を理解し、自律神経の働きを整えることです。こまめに水分や塩分を摂り、適度に運動し、休息をバランスよく取ることが大切です。特に、小学生の高学年から中学生の子どもたちは、自律神経の成長が体の成長に追いつかず、循環器系の調節がうまくいかないことがあります。このため、本人だけの努力では改善が難しいことがあります。この疾患は周囲から気付かれにくく、理解されづらいため、保護者が子どもをサポートし、心のケアをすることも重要です。

これらのガイドラインを念頭に置きつつ、一般的には以下のような行動を取ることが推奨されます:

  • 1. 子どもが急に立ち上がるときには注意を促し、立ちくらみを避けるように指導してください。
  • 2. 適度な運動は血流を改善し、自律神経のバランスを整えます。しかし、過度な運動は避け、子どもの体力に合った運動を選びましょう。
  • 3. 食事はバランスよく摂り、特に鉄分やビタミンB群など、血液生成に重要な栄養素を摂るように心掛けてください。
  • 4. 子どもが十分な睡眠を取れるように、規則正しい生活リズムを確保してください。夜更かしや長時間のスクリーンタイムは避けるように指導してください。

起立性低血圧は、子どもの成長や心身の変化に伴う一時的なものであることが多く、大人になると自然に改善することが多いです。しかし、それが子どもの日常生活に影響を及ぼす場合や、その他の症状がある場合は、必ず医療機関に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。また、理解しづらい病状であるため、親や周囲の人々の理解と協力も大切です。子どもが自分の体調を正しく理解し、適切に対処できるようにサポートしてあげてください。